<ティンガティンガ・アーティスト⑤>

「SIWA TINGATINGA」

(シワ・ティンガティンガ)

SIWA TINGATINGA
アシャ・ラジャブ・イスマイル(Asha Rajabu Ismail)

SIWA TINGATINGA(シワ・ティンガティンガ) は、ティンガティンガ・アート創始者エドワード・サイディ・ティンガティンガの血統を受け継ぐ現代アーティストであり、鮮やかな色彩と女性ならではの感性によって独自の作品世界を築いている作家です。

1989年10月13日、タンザニア最大の都市ダルエスサラームで生まれました。

祖父はティンガティンガ・アート創始者エドワード・サイディ・ティンガティンガ、母も画家という芸術一家に育ち、幼い頃から絵画に囲まれた環境の中で成長しました。

彼女にとってティンガティンガ・アートは単なる職業ではなく、家族から受け継いだ文化であり人生そのものです。

創始者の血統を受け継ぐ女性作家

ティンガティンガ・アートの歴史は長らく男性中心で発展してきました。

その中でSIWAは、創始者一族の女性作家として活動する貴重な存在です。

2010年に本格的な創作活動を開始。

祖父や母から受け継いだ伝統的なモチーフを学びながら、自身の感性を加えた表現を追求してきました。

彼女の作品には創始者エドワードが描いた動物たちの精神が息づいています。

しかしその表現はより柔らかく、親しみやすく、そして華やかです。

「幸福を描く画家」

SIWA作品を特徴づける最大の要素は、

幸福感

です。

彼女は自身の作品について、

「初めて見る人に幸せな気持ちになってほしい」

と語っています。

そのため作品には攻撃性や恐怖はほとんど存在しません。

ライオンであっても威嚇しません。

ヒョウであっても凶暴ではありません。

動物たちはどこか穏やかで親しみやすく描かれています。

そこには見る人を楽しませたいという彼女の思いが込められています。

色彩の魔術師

SIWAが好む色は、

ピンク
黄色

オレンジ

です。

これはティンガティンガ作家としては非常に特徴的です。

多くの作家が赤や黒を強調する中で、SIWAはより明るく軽やかな色彩を好みます。

その結果、

彼女の作品には花や果実のような瑞々しさが生まれます。

特にピンクの使い方は秀逸で、

動物に優しさや温かさを与える独自の効果を生み出しています。

ライオンへの愛情

SIWAが特に好んで描くモチーフの一つがライオンです。

しかし彼女のライオンは力や暴力の象徴ではありません。

母ライオン。

家族。

守護者。

そうした意味合いが強く感じられます。

女性作家ならではの視点によって、

ライオンは支配者ではなく、

生命を守る存在として描かれているのです。

ヒョウの装飾美

ヒョウもまたSIWAを代表するモチーフです。

ティンガティンガ・アートではヒョウの斑点模様は重要な装飾要素ですが、

SIWAはその模様を特に繊細に扱います。

規則的なドット。

色彩の変化。

リズミカルな配置。

それらは単なる動物表現を超え、

画面そのものを美しいパターンへ変化させています。

クジャクの世界

SIWAが描くクジャクは非常に特徴的です。

クジャクは美しさの象徴であり、

彼女の芸術観そのものを表しています。

大きく広がる羽。

鮮やかな色彩。

細かな装飾。

その姿はまるで祝祭のような華やかさを持っています。

このモチーフには、

「美しいものを見て幸せになってほしい」

という彼女の願いが込められています。

静けさの中で描く

SIWAは、

「静けさがとても大切」

と語っています。

彼女にとって絵を描く時間は幸福な時間です。

そのため作品には焦りや緊張感がありません。

ゆったりとしたリズム。

柔らかな色彩。

穏やかな動物たち。

それらは彼女自身の心の状態を映し出しているようです。

教育としての芸術

SIWAは芸術を単なる娯楽として捉えていません。

彼女は、

人々を楽しませること
学びを与えること
希望を与えること

を重要視しています。

特に若い女性たちに対して、

芸術は夢ではなく仕事になり得ることを伝えたいと考えています。

これは女性アーティストとして活動してきた彼女自身の経験から生まれた信念でもあります。

日本への夢

SIWAは長年、

日本で展覧会を開催することを夢見ています。

それは単に海外で作品を発表したいという意味ではありません。

彼女は日本の若い女性たちに、

芸術には人を幸せにする力があることを伝えたいと考えています。

また、自らも祖父エドワード・サイディ・ティンガティンガのような偉大なアーティストとなり、

ティンガティンガ文化を未来へ発展させていきたいと願っています。

SIWA TINGATINGAの画風
創始者に最も近い現代作家

多くの現代ティンガティンガ作家は、

画面を埋める
モチーフを増やす
色数を増やす

方向へ進化してきました。

しかしSIWAは逆です。

彼女は引き算をしています。

「一匹を描く」

マリキータは50人描きます。

AKILYは20頭描きます。

しかしSIWAは、

一羽。

一頭。

一本の木。

それだけで成立させます。

これはエドワード・サイディ・ティンガティンガの思想そのものです。

《ピンクの鳥》

(添付1作品)

まず驚くのは背景です。

全面ピンク。

余計なものがありません。

色彩の革新

エドワードは赤を好みました。

SIWAはピンクを選びます。

これは非常に女性的な感覚です。

しかし単なる可愛らしさではありません。

黒い樹木

白い花

水色の鳥

との対比によって、

極めて洗練された画面を作っています。

装飾性

葉の描き方にも特徴があります。

一本一本が丁寧に描かれ、

まるで刺繍のようです。

この感覚は女性作家であるSIWAらしい部分です。

《ライオン》

(添付2作品)

これは非常に興味深い作品です。

ライオンなのに怖くない

通常ライオンは威厳や力の象徴です。

しかしSIWAのライオンはどこか優しい。

目は大きく、

口元は穏やか。

むしろ子どもの絵本の登場人物のようです。

エドワードとの共通性

エドワードもまた、

動物をリアルに描きませんでした。

象徴として描きました。

SIWAも同じです。

ライオンを描いているのではなく、

「ライオンらしさ」

を描いています。

《カバ》

(添付3作品)

ここにSIWAの個性がよく表れています。

可愛らしさ

カバは本来巨大で危険な動物です。

しかしSIWAのカバは親しみやすい。

丸い鼻。

大きな目。

柔らかな輪郭。

まるでぬいぐるみのようです。

子どもにも愛される絵

SIWA作品にはこの特徴があります。

難解ではありません。

誰でも楽しめます。

《サイ》

(添付4作品)

非常にシンプルです。

背景は緑。

動物は一頭。

鳥が一羽。

しかし成立しています。

これは構成力がある証拠です。

画面を埋めなくても成立する。

実は非常に難しいことです。

《赤いアンテロープ》

(添付5作品)

この作品はSIWAの色彩感覚を象徴しています。

現実にない色

アンテロープは赤くありません。

しかし彼女は迷わず赤で描きます。

現実ではなく、

感情を描いているからです。

青との対比

背景の青。

動物の赤。

非常に強い補色関係です。

画面に圧倒的な存在感が生まれています。

《動物たちの楽園》

(添付6作品)

この作品はSIWAの世界観そのものです。

ピンクの象

灰色のライオン

赤いアンテロープ

本来なら共存しない動物たちが、

一つの平和な空間を共有しています。

ここには争いがありません。

捕食もありません。

ただ共に生きています。

これは彼女が語る

「私の絵を見た人に幸せになってほしい」

という願いそのものです。

SIWA芸術の特徴
① 創始者への近さ

現代作家の中でも特にエドワードの精神を継承している。

② 引き算の美学

描き込み過ぎない。

余白を恐れない。

③ 女性的色彩

ピンク

オレンジ

を中心とした柔らかな色彩。

④ 教育性

子どもでも理解できる。

親しみやすい。

⑤ 幸福感

彼女の作品最大の特徴。

見ていて心が明るくなる。

ティンガティンガ作品を見る(ARTPOOL オンラインストア)

SIWA TINGATINGA作品一覧

上部へスクロール